村の外れでな、女子高生が首を吊ろうとしてる。勿体ないから、手を掴んで木から引きずりおろして往復ビンタ百発喰らわしてやった。
途中から殴り返して来た。ちょっと元気になりよった。
ワシが
「お前、首なんか吊ってどうするんじゃ?」
女子学生は
「死ぬために決まってるでしょう?」
ワシが
「お前はアホか?そんなんで死ねるわけないわ」
女子学生が
「死ぬでしょ?普通」
ワシが
「死ぬ言うのはな、この世での役割を終えて、宇宙のシステムで次の世界へ送られることや。
お前がやろうとしてることは、『体を腐らす』だけや」
女子高生が
「じゃ、自殺したらどうなりますか?」
ワシが
「意識はそのまんまで時間が来るまでどこにもいけん。お前は何ぞ悩んどるようやが、そんな、ピチピチ、ムチムチした立派な体があって解決が難しいことを、体失くして、お前が解決でけるとでも思うか?
例えば、お前の家族が難儀しておっても、体のないお前には助けることが出来んのやど。これもまた苦しいことや」
女子学生が
「それなら、今まで自殺した人はどうなってるんですか?」
ワシが
「生きてる時の比較にならんほど苦しんでおるわ。『あ~自殺なんてするんじゃなかった。
あんなに健康で不自由ない体だったのに。今は何にもできん』
生きてる苦しみは、それにくらべたらピクニックみたいなもんじゃ。
生きてる今こそ前借りしてでも苦しめ。それほど楽しいことはまたとない。
もし悪いことしたという自覚があったら、自白してでも生きてる今償え。『バカ正直』と言われてもな。お前の悪行は、『天使る地知る城みちる。誰もいないと思っていても♪どこかでどこかで、エンゼルは~♪ってなもんや三度傘』の世界よ。生きてるうちにスッキリせい。
お前に二つだけ教えてやるわい。
①自殺では死ねん。
②生きる苦しみほど素晴らしいものはない。
この2つさえ分かれば滅多な間違いはせん」
この女子学生もしばらく理弁寺に通わせる。
みんなも元気出して、この理弁寺の和尚と生きようやないか(笑)
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