文句垂れの仁助が来よった。
「和尚さん、わしは今、ひとしきり地方自治体に文句を言うてきたところじゃ。
あの国府川隔てて、わしらのこの村と隣町の整備の違いのことや。
隣は立派やのに、うちの村は何もかもが旧式やないかい。
同じ税金を負担していてこれはない。
何とかせいと脅してきたんじゃ」
ワシは
「なるほど、仁助は文句垂れじゃな。
仁助は普段も他人を見ては
『あいつらは楽』
『あいつらは恵まれておる』
と言うとるんじゃろうな。
今回のことでよう分かったわい。
人も町も平等じゃ(笑)」
仁助は
「そんなことあるか。わしもこの村も恵まれてないわい」
ワシが
「仁助、何で隣町が立派で新しいか教えたろ。
お前がこの村に転居してくる三年前、国府川が大水で氾濫して、隣町は町ごと流されてしもうたんじゃ。
家も土台ごと流された。
国府川は隣町側の弱い堤防を突き崩して隣町側を壊滅させたんや。
気の毒に子供が行方不明になった若い夫婦もおった。子供がいなくなった若いお母さんは気が錯乱したわ。
全財産なくした年寄りもおった。
大水で全て流されたから、新しく立派に作り直したんや。
勿論、国府川の弱い部分も作り直した。もうあんな酷いことは沢山やからな。
それまでは年度末になったら予算消化で要らん工事してた役所も真剣に考えるようになった。
うちでお弔いした仏の墓も裏の墓地にあるから、柄杓の水一杯でも掛けてやってくれ
死んでも祀られる仏と忘れられる仏もあるがよ」
仁助は
「そんな災害があったんかいな。
ま、そりゃ町が新しくもなるわな。
そやけど、和尚、それと、ワシの文句垂れとどう関係あるんや?」
ワシは
「仁助ぇ、お前、ホンマに物分かり悪いのう。頭ついておるんか?
お前が
『あいつらは恵まれておる』
という羨ましい人達も隣町も同じことや。
お前が羨ましい人達は、お前が経験してない人生の大水災害をお前より先に経験して、エライ目に遭いながら人生の再建をしてきただけのことやないかい。
だから、素敵な今があるだけや。
恵まれてる人間なんかこの世にひとりもおるものかよ。」
仁助も、やっと自分のアホさに気づいて顔が赤くなっておった。
可愛くはない。全く可愛くはない。
無駄なアップルチークや。
ワシは遠山の金さんのように、セリフ決めなあかんと思うた。
「仁助よ。なんで1日には朝が来て昼になって夜がまた来ると思う?
それはな、町が再建されるように、人間も毎日毎日再生されるためや。
昨日まで思い違いをしておっても、昨日まで悪さしておっても、それに気づいて夜を越せば人はましな人間に再生されるんや。
一回痛切に反省したら、前に向かって生きることや。
いつまでも馬鹿だった頃の自分を振り返って引きずるな。
今日までダメでも明日はまた違う。
『人は明日へ』や。
Don’t look back‼️ Go ahead‼️
ってNMB48も歌っておったやろ。
ワシは本当に上西恵が好きやった。
みなさんは何系が好きですか?
あっさり系、こってり系、N700系?ジョーニシ、ケーイ‼︎ってな❤️
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