金が悪いカネ?

村の中年がワシに小言たれよる。
「なあ、和尚さんなら分かってくれるやろ?
なんでみんな、人生、あんなに金に流れよるんかな?情けないのう」

ワシが
「例えば?」

中年が
「あれだけ、純粋に空手に励んでた人間が金が入り出したら、金のことばっかり」

ワシ
「それは、金の必要性をその人は感じたからやないかい。
知ったことか。
『金が悪いカネ?』
ワシとしたことがシャレてしもうたやないか(笑)
なんで、お前笑わんのじゃ!
こんなにオモロイこと言うたのに。」

中年が
「あの隣町のリゾート開発の親父なんか、年中金のことばかり言うとるぞ」

ワシ
「ワシもあの親父は知っとるが、ようボヤいとるわ。
『幾ら稼いでも、社員の給料と税金納めたら、すっからかんやー!』
って泣いとる。おまけにハゲてきたて(笑)ナイトクラブで姉ちゃんがわろたらしい。
でも、あの親父の功績で、金のない人間もリゾートに泊まれるんぞ。
事業家言うのは例えば一回給料が払えんことなったら、もう悪党の鬼呼ばわりされるもんや。
それからの、お前ら、金持ちの悪口言う人間の恥ずかしいのは、『他人の良い思いしてるところ』しか目に入らないというところや。
空手の道場主は、道場を持った途端に『守銭奴に変わった』言われる。そうやない。出て行く金が大きいこともあるんや」

中年が
「ワシとしてはええ加減に、和尚さんが『人生、銭カネやない』というて欲しいんじゃがのう」

ワシ
「言わんよ。
金は言うならば、仕事で頑張って、辛いの堪えて、ようやったっていうお誉めの評価や。
それで家族を食わすことが未来を育てるんや。人間にこれ以上の仕事、修行、幸福はないのや。ここから逃げるのは落伍者やぞ。」

中年が
「そやかて、嫌な仕事しとうないやないか?」

ワシが
「誰も、嫌なことせいとは言ってない。好きなこと、性格におうたことをしっかりやれや。それで稼げる範囲で生活せい。足らんかったら、納得でけるアルバイトせい。

中年
「出来るやろか」

ワシ
「お前らが卑怯なのは、自分の本当にやりたい仕事、自分の本当に好きな女、本当は欲しい金というものから逃げておいて、ストレートに自分の好きな仕事、女、金に正直に生きてる人間をまるで不道徳な人間かのように言うことや。
お前は清らかではないよ。」

中年が
「そんなもんかの」

ワシが
「世の中のそういう金や仕事の批判する奴らは、まともな批判をしとるように見えて、ただの負け犬や。
正に人の修行を生きてはおらん。
この世の有り様をまともに受け止めい。
色恋もそうじゃ、悔しかったら、どうやったらモテるかも考えてみい。
もし不細工なお前が、いや不細工なある方がいたとして、モテたいと思うたなら、頑張って仕事して、稼いだ金に惚れさせろ。
女との間に子供が出来て、その子供にしこたま金かけてええ教育やええ生活させてやってみい。
それは誰よりも自分の子供が大事な母親にとって『自分の子供を大事にしてくれる最高の男性』となるんや。
金を稼ぐのも逞しさやぞ。男の魅力やぞ。
稼ぐ男は光る。
お前らの言う人生の迷いは全部、お前らが本当に求めるべきものから逃げておるから迷い道クネクネ♪になるのや」

人はお金は汚いと良い、女は夜叉という。違うよ。求める物自体に罪はない。求め方の問題や。

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